本当の防災対策

最近は様々な場面で「防災対策」について声が上げられていますが、実際にその対策を行うとなると、何をして良いか解らないものです。

 昔は「水」「食料」「ラジオ」を準備しておくことが防災対策と言われていました。最近では「トイレ」「携帯(充電器)」なども言われます。

が、本当にこれで良いのでしょうか?

 

実は、備蓄品の準備は「防災対策」ではなく「災害後対策」なのです。

 災害が発生し、生存してから役に立つであろう準備を行う「災害後対策」も、もちろん大事ですが、まず頭に入れてもらいたいことは

 

自分自身の命を守ることができなければ、地震後の備えをしていても意味がない

 ということです。

◆阪神・淡路大震災

 1995年1月17日午前5時46分、阪神・淡路大震災が発生し死者6,434人を出す大災害となりました。

 

広域火災、地盤の液状化、六甲山地の斜面崩壊やライフラインの断絶などの複合災害となり、8割以上の方が家屋の倒壊による圧死や窒息死でした。(うち約10%が室内家具の転倒による圧死)

 

 また、倒壊した家屋の多くが1981年6月1日に改定された「耐震基準」よりも前に建てられた「既存不適格」でした。

 

 2000年には約20年ぶりに建築基準法が改正され、木造建物において基礎に関する規定や柱と梁や土台との接合部の仕様に関する規定、壁をバランスよく配置するための規定などが取り入れられました。

◆新潟県中越沖地震

 2007年7月16日午前10時13分、新潟県中越沖地震が発生し住家の全壊1,319棟、半壊5,621棟、死者15人(うち震災関連死4人)、重軽傷者2,345人という被害でした。

 

 家屋被害が大きかった柏崎市で全壊、半壊の大多数が老朽化した古い木造家屋であり、重い瓦屋根であるうえ、筋交いの入っていないもの、壁の少ないものなどが目立ちました。

 

 死者のうち10人は倒壊した木造家屋の下敷きにより亡くなっておりいずれも70~80歳代の高齢者でした。 

◆東日本大震災

 2011年3月11日午後2時46分、東北地方太平洋沖地震が発生。

 

 この超巨大地震によって東北地方から関東北部の沿岸を大津波が襲いほとんどの市町村が壊滅状態となり死者・行方不明者は1万9,000人を数えています。

 

 大津波により多くの木造住宅が流出されましたが、マンションや鉄筋コンクリート製などの住宅はもちろん、比較的新しい現代風の戸建て木造住宅には周囲の建物が流された中でも残っているものも散見されました。

過去の災害から学ぶ

過去の災害から分かった地震の防災対策とはなんでしょうか

 

 

◆建物が倒壊しないこと

 地震災害で亡くなった方の8割以上が建物の倒壊による圧死であることから最も重要な防災と言えますが、100%倒壊しない建物はありません。しかしながら、新耐震基準に適格しているかが一つの大きな境界線であると言えます。


 ご自宅の建設年を確認し不適格はもちろん、可能であれば一度耐震診断を行うことも検討してみましょう。

(国土交通省では2008年時点で住宅総数のうち21%が耐震性が不十分であると発表されています)

 

 今日では木造住宅の耐震性に関する規定が整備され、建築基準法どおりに適切に建てられた建物であれば、阪神・淡路大震災や東日本大震災のような大地震にあっても倒壊することはほとんどないと考えられています。しかし、阪神・淡路大震災では既存不適格の建物や比較的新しいものでも耐震性が不十分であった建物にに被害が生じました。

「既存不適格」とは、建設時点ではそのときの法令を満たしていても、その後に法令が改正され現行の法令を満たさなくななっていることを指します。したがって新耐震基準になった1981年以前の建物は既存不適格の可能性が高いのです。 

㈶建築防災協会

 

http://www.kenchiku-bousai.or.jp

「(財)建築防災協会(誰でもできる、我が家の耐震診断)」

◆家具を倒壊・転倒・移動・落下させない

 地震災害で亡くなった方の約1割が家具による圧死であったことから、こちらも非常に重要な防災対策です。すでに実施されている方も多いと思いますが数年前と比べ、より良いマニュアルになっていますので比べてみてください。

東京消防庁電子図書館(家具類の転倒・落下・移動防止対策ハンドブック)

 

http://www.tfd.metro.tokyo.jp/hp-bousaika/kaguten/handbook/

「東京消防庁電子図書館(家具類の転倒・落下・移動防止対策ハンドブック)」

 

◆家具の配置を考える

家具の配置を考える

 家具を固定していても、本当に大丈夫なのか発生するまで分からないものです。

・逃げ道(ドア)を塞がれない

・就寝中に倒れてこない

・死角(背後)に置かない

など、考えた配置を心がけてください。

◆家具を減らす または安全なものに変える

家具を減らす、、、

極論は「家具を置かない!」ことですが、安全なものに変えるだけで立派な防災となります。

飛散防止フィルム LEDシリコーン セパレート型壁掛け
災害をイメージする
地震

 

『湾沖50Km海洋でマグニチュード8.0の地震が発生しました』

さあ、あなたはどうしますか?

 

「すごい揺れだ」⇒「津波が来るかもしれない」⇒「高台に逃げよう」

 

「すごい揺れだ」⇒「家族が心配だ」⇒「連絡を取ろう」

 

のようなイメージではないでしょうか。

 

していただいたイメージ(想像)ですが、「満点」はありません。災害発生から事細かく、あらゆる状況を想像することで、実際の災害が発生したときに最適であろう行動がとれるように(とりやすく)なるための、いわば防衛本能のレベルを上げるための訓練です。

 

なぜイメージ(想像)することが重要なのか?

答えは単純でイメージ(想像)できなければ対策できるわけがないからです

 

では、具体的に時間を追ってイメージ(想像)してみましょう。

 

緊急地震速報が発令

⇒午前7時50分、通勤中(海岸線走行中)、クルマの中でラジオから緊急地震速報が流れる。

 

 

このようなイメージをされたとしましょう。

「午前7時50分、通勤中、緊急地震速報が流れる。」をさらに1つ1つイメージしてみます。

 

7時50分、通勤中

平日の海岸線を走っていたが、工事の影響か事故なのかわからないが渋滞のため橋の真ん中辺りで止まってしまった。聞いていたラジオから「ただいま緊急地震速報が発表されました、大きな揺れに備えてください」と流れた。

 

このイメージで事前にできる防災対策はないでしょうか?

 

最悪のケースをイメージされた場合、「地震で橋が倒壊し、車ごと落下し死亡してしまった」でしょうか。このことに対する対策は「老朽化が心配なこちらの橋ではなく、新しいほうの橋がある道に通勤ルートを変更する」などがあげられます。

似たようなイメージでは「普段から事故が多く発生していたので渋滞であった」のなら同じくルートを変更されることも(事故)防災なのです。

 

また、違うイメージとして「昨夜携帯の充電を忘れ、電源が入ってなかったため緊急地震速報に気付かなかった」のでしたら「運転中はラジオを聴くようにする」とか「予備電源や充電器を車内に保管しておく」などで携帯を充電できるようにしておくことも立派な防災と言えるのではないでしょうか。

 

イメージして対策する方法は、イメージ次第で無限に存在します。


「地震が発生したら、津波の心配がある海岸線から違うルートに変更する」のような事後対策ではなく、「明日から津波の心配が少ないルートに変更する」ことが大切なのです。

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